- 2025.10.30
生活保護受給者のための節約術と貯金の基礎知識
生活保護を受給する中で、「将来への不安」や「日々の家計のやりくり」に悩んでいませんか?
限られた収入だからこそ、お金の使い方に工夫を凝らすことが、自立に向けた最も大切な一歩になります。
本記事では、生活保護のルールを守りながら、無理なく実践できる節約の基本から、将来のための貯金の考え方までを具体的に解説します。
目次
生活保護受給者が知っておくべき節約についての基本
節約とは、生活に必要なものを見極めて、無駄な出費を減らすことです。
生活保護を受給している場合、この「節約」は単なる家計管理ではなく、将来の自立に向けた大切なステップとなるでしょう。
生活保護法第60条では「受給者は勤労に励み、支出の節約に努める義務」が定められています。
これはぜいたくを禁止するという意味ではなく、健康で文化的な最低限度の生活を維持しながら、計画的にお金を使うことを指すものです。
節約は、食費や光熱費などの生活費を記録し、何にいくら使っているかを把握することから始まります。
そこで必要なのが、家計簿です。
家計簿を使って出費を「見える化」することで、思わぬ無駄遣いが見えてきますよ。
生活保護受給者が節約する3つのメリット
生活保護受給者にとって、節約は将来への希望につながる大切な行動です。
節約にはお金が貯まる以外にも、さまざまなメリットがあります。
ここでは生活保護受給者が節約をすることによる3つのメリットについて解説します。
メリット①計画的にお金を使えるようになる
生活保護受給者が節約をする最大のメリットは、計画的にお金を使えるようになることです。
節約することにより、月末になって「お金が足りない」と焦ることが減ります。
また、何にいくら使っているか把握できると、本当に必要なものとそうでないものの判断がつくようになります。
この判断力は、将来生活保護から自立した時にも役立ちますよ。
メリット②精神的な効果が得られる
節約を続けると、「生活をしっかりとコントロールできている」という実感が得られます。
それが精神的な安定につながり、節約を楽しむ余裕が生まれます。
また、生活を工夫する中で、お金をかけずに豊かに暮らす方法も見つけられます。
例えば、子どもがいる方は、公園で遊ぶ、図書館で本を借りる、無料のイベントに参加するなどです。
これらの経験を通して、お子様の物を大切にする心や計画的にお金を使う力が養われるでしょう。
メリット③将来の自立に向けたステップとなる
節約でお金の管理能力を身につけておくことは、生活保護から自立する際に効果的です。
生活保護に頼らずに働けるようになった時、節約の習慣があれば、収入の範囲内で無駄なく効率的にお金を使う意識が働くからです。
また、節約で貯金をする習慣が身につけば、急な出費にも備えられるでしょう。
つまり、節約によって、自立した生活を送るための基礎が築けるというわけです。
生活保護受給者の3つの具体的な節約法
節約と聞くと難しく感じるかもしれませんが、日常生活の中で実践できることは多々あります。
ここでは、生活保護受給者に参考になる節約のコツを3つ紹介します。
①食費を安く抑える
食費は、毎月の支出で工夫すれば減らせる項目です。
とはいえ、健康を害しては元も子もありません。
節約をしながら、健康によい食事を採ることが大切です。
そのための鍵は、「自炊の徹底」と「献立の計画化」です。
例えば、スーパーの特売日や割引シールの張られた商品を購入しましょう。
業務用スーパーや地域によっては、フードバンクの利用(利用にはケースワーカーへの相談が必要)もできます。
食費を大きく削減し、その分を将来のための貯金に回せればいいですね。
②買い物と調理の工夫
自炊で食費を抑えるためには、以下の計画的なアクションが必須です。
・献立を決めてから買い物に行く
週に1〜2回の特売日にまとめ買いをしましょう。
その際、1週間分の献立を大まかに決めておくと、無駄買いを防げますよ。
・ 冷凍保存を徹底する
肉や魚は安い日にまとめ買いし、一回分ずつ小分けにして冷凍保存します。
野菜は冷凍できるものが多いので、使い切れない分は冷凍しておいてもよいですね。
・作り置きを活用する
料理はなるべく時間があるときにまとめて調理し、一食分ずつ小分けにして冷凍しておくと便利です。
面倒な日は温めるだけで済ませられるため、楽をしたい時に外食したい誘惑を断ち切るのに役立ちます。
③安価で栄養価の高い食材を買う
価格は地域や時期によって変動しますが、以下の食材は一般的に安価で栄養バランスを保ちながら食費を抑えるのに役立ちます。
特売やディスカウントストアを上手に活用しましょう。
| 食材 | ポイント |
|---|---|
| 鶏むね肉 | 高タンパクで低脂質。大容量パックがお得になりやすい。 |
| 豆腐 | 植物性タンパク質が豊富。プライベートブランド(PB)商品が狙い目。 |
| 卵 | ほぼ完全栄養食。特売のチラシをチェックして購入を計画する。 |
| もやし | 安定して低価格。ビタミンも含まれる節約の優等生。 |
| キャベツ・大根 | 旬の時期は安価。一度に使い切れない場合は冷凍や漬物にする。 |
| バナナ | 輸入果物の中では価格が安定しており、手軽な栄養補給に最適。 |
これらの食材を上手に組み合わせると、栄養バランスを保ちながら食費を抑えられますよ。
光熱費の節約も出費を抑えるのに重要!固定費を確実に抑える方法
光熱費は毎月必ずかかる固定費です。
ここを抑えられれば、節約には大変助かります。
ここでは、光熱費を抑える3つのポイントを紹介します。
①電気代を節約する
電気代は使い方次第で、大幅な削減効果を期待できます。
・エアコンの設定温度の調整
エアコンは設定温度を1度変えるだけでも、電力消費を抑える効果があります。
夏は28度、冬は20度を参考に、無理のない範囲で調整しましょう。
・エアコンフィルターのこまめな掃除
フィルターを月に1〜2回掃除する習慣を作ることで冷暖房効率が上がり、電気代の削減につながります。
・照明のLED電球化
初期費用はかかりますが、寿命も長く消費電力が少ないため、長期的に見れば大きな節約になります。
②ガス代と水道代を節約する
ガス代は、調理方法と入浴方法で大きく変わります。
調理では、電子レンジを活用しましょう。
野菜の下茹では、ガスより電子レンジの方が安く済むからです。
入浴の際の追い炊きは、思った以上にガス代がかかるため、家族で間隔を空けずに入浴するのもおすすめです。
水道代は、使い方の工夫により減らせます。
例えば、食器を洗う際は、水を出しっぱなしにしないで桶に水を溜める、トイレの大小レバーを使い分けるなどの方法があります。
③スマホ料金の見直し
スマホは、現代の生活に欠かせないツールですが、料金が高いと家計を圧迫してしまいます。
特に生活保護を受給している方にとっては、スマホ料金の見直しは重要な節約ポイントでしょう。
大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)を使っている場合、スマホ代が月7,000〜10,000円かかることも珍しくありません。
しかし、格安SIMに変更すれば、月1,000〜3,000円程度に抑えられます。
格安SIMへの変更
格安SIMへの変更は思ったより簡単です。
審査に不安を感じる方もいるかもしれませんが、生活保護受給者でも契約できる会社は多くあります。
まず、今のスマホがそのまま使えるか確認しましょう。
SIMロック解除が必要な場合もありますが、最近の機種ならほとんど使えますよ。
不安な場合は、中古スマホを購入するのも手です。
1〜2万円で購入でき、格安SIMとセットで使える機種もあります。
【おすすめの格安SIM会社】
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関連記事:だれでもモバイルは怪しい?実際の評判や口コミを徹底解説!
無理なく節約を続けるための3つのコツ
節約は継続することが、大切です。
そのためにも、自分にとって無理のない節約法を見つける必要があります。
ここではその3つのコツを紹介します。
コツ①完璧を目指さないこと
義務感で節約すると長続きしません。
例えば料理。
好きなメニューで節約料理を作ることを習慣にすれば、長続きするでしょう。、
疲れた日やどうしても料理したくない日は、無理せずに手抜きをしてもいいかもしれません。
そのためにも、レトルトカレーや冷凍うどんなどを常備しておくとよいですね。
大切なのは、長く続けられる仕組みを作ることです。
コツ②節約を生活の楽しみに変える工夫
趣味を完全に我慢しなくても大丈夫です。
節約自体をゲームやチャレンジのようにとらえて、生活の満足度を下げずに節約を続けましょう。
コツ③家計簿アプリで「見える化」する
家計簿アプリを使うのもおすすめです。
スマホで簡単に記録でき、何にいくら使ったかが、一目でわかります。
無料のアプリも多いので、自分に合ったものを探してみてください。
生活保護受給者が貯金できるものについて
生活保護を受けながら貯金をするには、制度上のルールの正しい理解が不可欠です。
ここでは、生活保護受給者が認められる貯金の内容について解説します。
①最低限必要な出費の貯金なら可能
生活保護を受けながらの貯金は、目的によっては認められています。
ただし、その目的と金額によっては、ケースワーカーの判断が分かれます。
例えば、家電や家具、冠婚葬祭など、生活に最低限必要な資金を貯金することは認められています。
生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度」だからです。
ただし、単に今後の生活への不安という漠然とした理由での貯金は、原則として認められません。
②子育て世帯の教育貯金は認められる
子どもの将来の自立に直結する教育費(大学・専門学校の入学金など)のための貯金は、生活保護上認められるようになりました。
ただし、子どもが大学などの教育機関へ進学する際は、「世帯分離」の手続きが必須です。
世帯分離は、親と子の住民票を分けて、別世帯として扱う手続きです。
子どものアルバイト収入が親の保護費に影響しないようにしたり、奨学金を自由に利用できるようにしたりします。
世帯分離の詳細や手続きのタイミングは、進学が決まったら早めにケースワーカーに相談しましょう。
(参考:高等教育の修学支援新制度の周知等について)
貯金を始める前に必ず守るべき注意点
生活保護受給中に貯金を始める際は、ケースワーカーに目的と金額を明らかにして、必ず許可を得てください。
無断での貯金は不正受給と見なされ、保護費の返還や打ち切りにつながるリスクがあるからです。
また、努力をした結果、貯金が高額になった場合、保護が不要と判断される可能性があるため、すぐにケースワーカーに相談しましょう。
常に正直に申告することで透明性を保つ姿勢が、制度下で貯金を進めるための最重要ルールです。
生活保護受給中に注意すべき支出
生活保護制度下では節約に努め、自立を目指すことが求められます。
そのためにも、生活保護の趣旨に反すると見なされる出費には特に注意が必要です。
ここでは生活保護受給者が避けるべき支出と申告のルールについて解説します。
お金をかけすぎてはいけない項目
趣味や娯楽にお金をかけすぎることは避けましょう。
趣味自体は認められていますが、高額な出費を伴うものは問題視されます。
例えば、スマホゲームへの課金は注意が必要です。
月数万円も課金していると、生活保護費の適切な使用ではないと判断される可能性があります。
また、ギャンブル(パチンコや競馬など)は、生活保護費の適切な使用とは見なされません。
発覚した場合、保護の停止や打ち切りにつながる可能性があるので、控えてください。
収入につながる趣味の扱いに注意
趣味で収入を得る場合は、必ずケースワーカーに申告が必要です。
ハンドメイド作品の販売やブログの広告収入など、趣味から収入が発生することがあります。
この場合、収入として申告すると保護費から一部減額されます。
申告せずに収入を得ると、不正受給となり厳しい処分を受けるので、少額でも必ず報告しましょう。
まとめ:無理のない節約で明るい未来を
生活保護を受給しながらの節約と貯金は、決して簡単ではありません。
しかし、小さな工夫の積み重ねが、未来を明るくします。
| ・節約の基本は無駄を省くこと
・食費は自炊と計画的な買い物を ・光熱費はエアコンの設定温度で節約 ・スマホ料金は格安SIMで大幅削減 ・貯金は子どもの教育費や生活必需品など明確な目的があれば認められやすい ・無断での貯金は不正受給と見なされるため正直な報告が必須 ・完璧を目指さず、できる範囲で長く続けることが成功の秘訣 |
あなたが将来を真剣に考え、行動しようとしていることは、とても立派なことです。 小さな一歩から始めて、着実に進んでいきましょう。